【災害】津波情報の種類

学び

津波警報と津波注意報

先日、フィリピン付近で発生した大地震にともない、日本列島の太平洋側と東シナ海側を中心に津波注意報が気象庁から発表されました。午前0時ごろの深夜だったので、突然の注意報の発表に驚かれた人もいたかと思います。幸いにもこの時、津波警報の発表はありませんでした。そもそも、津波注意報と津波警報は何が違うのでしょうか?

簡単に言えば、予想される津波の高さの違いです。
情報の種類は津波の高さ別に、
・最大3メートル超 → 大津波警報
・最大1メートル超 →  津波警報
・最大20センチ以上 → 津波注意報
となっています。

また、津波によって災害が発生する危険性はないものの、海面が多少上下する場合(若干の海面変動)が予想されるときは、「津波予報」が発表されます。

下の画像は、令和5年12月2日23時56分に気象庁がウェブサイトで発表した津波情報画面です。この時はフィリピン付近で大地震が発生して、日本に津波がやってくる可能性がありました。
気象庁からは津波注意報と津波予報が発表され、大津波警報や津波警報の発表はありませんでした。

黄色の表示は津波注意報、青い表示は津波予報の対象地域。赤丸はカーソルを合わせるとその地点の満潮時刻と津波が到達する予想時刻が表示されます。上の場合、カーソルを土佐清水に合わせています。

この時は後に、八丈島で最大40センチ、土佐清水で最大20センチなどの津波が観測されたとの情報が発表されました。

想定される被害と行動

では津波に関する情報が発表された場合、どんな被害が想定されるのでしょうか?
気象庁では情報別に説明をしています。

◾️大津波警報
【被害】
巨大な津波が襲い、木造家屋が全壊・流失し、人は津波による流れに巻き込まれる
【行動】
沿岸部や川沿いにいる人は、ただちに高台や避難ビルなど安全な場所へ避難
※「警報」という呼称が用いられていますが、「特別警報」扱いの情報です

◾️津波警報
【被害】
標高の低いところでは津波が襲い、浸水被害が発生。人は津波による流れに巻き込まれる
【行動】
沿岸部や川沿いにいる人は、ただちに高台や避難ビルなど安全な場所へ避難

◾️津波注意報
【被害】
標高の低いところでは津波が襲い、浸水被害が発生。人は津波による流れに巻き込まれる
【行動】
沿岸部や川沿いにいる人は、ただちに高台や避難ビルなど安全な場所へ避難

また避難する際に知っておきたい4つの注意点です。
・地震の震源が陸地に近い場合、津波警報・注意報が発表される前に津波が襲ってくる場合があります。強い揺れや、揺れが弱くても長く揺れているときは、すみやかに避難を開始してください
・大津波警報が発表された場合は、東日本大震災のような巨大な津波が襲うおそれがあります。すみやかににできる限りの避難をしてください
・津波は沿岸部の地形の影響によって局所的に予想より高くなる場合があります。「ここなら安心」と思わず、より高い場所を目指して避難してください
津波は長い時間くり返し襲ってきます。津波警報・注意報が解除されるまでは、避難を続けてください

情報の種類と発表順

津波に関する警報・注意報は気象庁ウェブサイト画面のほかに、気象庁の発表文でも確認できます。発表文は4種類あります。以下、情報の種類と発表される順番です。

(1)津波到達予想時刻・予想される津波の高さに関する情報
(2)各地の満潮時刻・津波到達予想時刻に関する情報
(3)津波観測に関する情報(観測した津波の時刻や高さが発表される)
(4)沖合の津波観測に関する情報

これらの情報はテレビやインターネットで広く伝えられますが、一般的には発表の順番はあまり気にしなくていいと思います。大切なのは順番よりも、お住まいの場所の津波の到達予想時刻と予想される津波の高さです。

津波は普通の波よりもエネルギーが多く、たとえ高さが数十センチでも大人を押し流す力があるといわれています。引き波の場合には一気に人を沖まで流してしまうそうです。注意報レベルでもかなり危険といえるでしょう。

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防災について深く知りたい方は、防災士や気象予報士の試験にチャレンジするといいでしょう。

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