独身生活を楽しむ
みなさん、独身って寂しいと思いますか?
僕は独身ですが、2年ほど付き合っている女性がいます。互いにそこそこの年齢(アラフォー)でも特に結婚という意識はなく、休日などを一緒に楽しく過ごしています。家庭を持つことに対して否定的というわけではありませんが、自分に合った仕事があって、友人と恋人がいて、それで満足しています。相手も同じような考えで、もちろん互いに「結婚したい」という気になればそうすると思いますが、今のところはそれぞれ自分たちの生活リズムが心地よい感じです。親は、「子どもがいないと老後が大変だよ」と心配します。でも先のことはあまり想像できず、今の暮らしをぼんやりですが楽しみながら続けています。
いい男と魅力的な女性
会社やプライベートの知り合いなどで周りには独身者はいっぱいいて、よく結婚の話も話題に上ります。意見は総じて男女ともに同じ傾向で、「いい人がいれば結婚したい。いなければ無理をしない」という感じです。特に僕の職場は独身女性が独身男性の2倍くらいいて、みんなバリバリ働いています。よく食堂などで、「だれかいい人いないですか?」とたずねられますが、実際のところ一般に言われる「良さげな男性」はみんな早く結婚しています。興味深いのは、そんな会話があっても、それほど悲壮感が感じられないことでしょうか。独身の自分をちょっと自虐的に言って、会話のスパイスにしているようで、言葉遊びが上手な女性が多い印象です。
言い換えればみなさん、「それなりに魅力的な女性」だったりします。ひと昔であれば、「なぜ独身なんだろう?もったいない」と思ったはずですが、個人のライフスタイルと価値観が多様化した現代では、自ら納得して「独身」を選んでいる人がそこそこいるのかもしれません。あるいは、彼女たちが「いい男」と思える男性が本当に少ないか。両方でしょうか。ちなみに僕は、自己評価ではルックスも仕事もいたって普通。可もなく不可もなくで、女性からすれば実害がない空気みたいなポジションです。目立つような「いい男」でもありません。
付き合わなくても満足?
ただ、今の20代の男女について考えるとやや複雑な気持ちになります。少し前にニュースで話題になりましたが、令和4年の内閣府の調査で、20代男性の約7割が「配偶者や恋人はいない」と答え、およそ4割が「デートの経験がない」とのことでした。20代女性も約5割が「配偶者や恋人がいない」という結果だったそうです。「これまでデートした人数」については、「ゼロ」と答えた人が20代の独身男性でおよそ4割だったとも。
20代って異性がとても気になる年代です。「いいな」と思う人ができたり、デートや遊びに誘うためにアイデアを練ったり、玉砕したりといろいろあって、甘くもほろ苦い、若いからこそ大胆になれる特権がいっぱいの年代かと思います。そうした経験の中で、人間関係や男女について学び、成長していける気がします。僕も当時付き合っていた女性から、笑われたり怒られたり拗ねられたりしながら自分を反省して、人との付き合い方や気のつかい方を学びました。
僕の会社には大学生のアルバイトさんが何人かいますが、話をすると確かに「恋人と過ごす」よりも、「将来の仕事」とか「ひとりの楽しみ」に意識のベクトルが向いている印象が強いです。みなさんそれぞれに素晴らしい個性があるので、今の若い世代をひとくくりに語ることはできませんが、20代の時に一度くらいは「お付き合い」をしてみると、ちょっとだけ見える世界が広がるはず、と心の中で思ったりします。
出会いの場
結婚願望がある独身の人たちとの会話で、「ホントに出会いがないんだよね」という本気コメントもしばしば聞きます。四六時中仕事をしているわけではないようですが、「気持ちがいつも忙しい」「疲れているので休日は何もしたくない」などの理由で、結果的に出会いがないと。モテない僕が言うのも少し変ですが、出会いの場って結構、身近にあると思います。何かのきっかけで外に出れば、可能性にコツンとぶつかります。疲れて気持ちが外に向かなくても、出会いを求めたいならまずは動いてみることでしょうね。これまでの自分の経験と知り合いの話も含めて、出会いがあった場として、以下のようなものがありました。
- 自動車学校
大学生の時に通っていて、あろうことか2人の女性に告られました。僕の人生最大のモテ期でした。ひとりは同じ学科の講義を受けていた女性で「一緒に帰りませんか?」と言われ、もう1人は試験会場で「ご飯食べに行きませんか?」と誘われました。2人ともそこそこ可愛らしい子でしたが、なぜかその時、僕は丁寧に断ってしまいました。誘われることに慣れていなかったせいもあります。数十年たった今でも「ウブだった自分」を責め、後悔が続いている失敗エピソードです。 - 英会話スクール
大学生の時に数カ月、それから間があって社会人になって約1年通いました。スクールのロビーではクラスが始まる直前まで、他のクラスの生徒さんたちも含め、みんながゆっくりくつろいでいます。時々、外人の先生が話しかけてきたりして穏やかな雰囲気です。しばらく通っているとロビーで顔見知りができます。「こんにちは」から始まって、どの先生のクラスなのか、その先生の特徴など、共通の話題が自然に生まれます。僕の知り合いの女性は、そんな風に英会話学校で知り合った男性と結婚しました。 - 友人の結婚式
これは鉄板の出会いの場でしょう。式の幸せムードに引きづられ、独身の参加者はみな「結婚っていいかも」と思える魔法にかかってしまいます。2次会では新郎新婦それぞれの友人たちが集まり盛り上がることが多いはずです。これまでたくさんの披露宴&2次会に出席してきましたが、そこでの出会いをきっかけにお付き合いが始まった知り合いはたくさんいます。 - 異業種交流会
仕事の話が前提の会ですから、異性を意識する必要はなく、リラックスして会話を始めることができます。参加者の年齢も様々ですが、これまでの経験上、ビジネスに燃えている人は肩書きがある年上のベテランに積極的に話を聞きに行ったりします。一方で、職場の指示でたまたま参加したような人たちはなんとなく同年代で集まる傾向があり、それはそれで会話が進み、出会いの場になっていました。 - 旅行先
アルゼンチンを一人旅していた時のことです。バスターミナルで軽食をとっていると、ひとりの白人女性が英語で声をかけてきました。年齢は20歳前後だったと思います。彼女はドイツから一人でやってきて、これから旅をスタートさせる予定だけど心細いので一緒に回りませんか、と誘われました。赤髪の可愛らしい子でした。日程と予定を聞くと、どうしても僕のスケジュールと合いません。僕も限られた日程で旅をしていたので、残念でしたがお断りしました。これ以外にも、旅先でタクシーをシェアしたり、心に残るいい出会いがあったりと、旅先ではなかなかの確率で出会いの機会がありました。 - ご近所サークル、社会人サークル
実家の近所に住む50代の自営業、独身男性が「結婚相手をさがしている」との話が、僕の両親の耳に入ってきました。父と母はお節介焼きではない性格ですが、日ごろ庭仕事を手伝ってもらうなど、男性にお世話なっていることもあり、相談に乗ることに。男性のルックスは小太りで、すでに髪の毛もおじさん化が進んでいます。でも性格は素直で朴とつ。で、父親からのアドバイスが「近所のテニスサークルにでも入ってみなさい」という、ちょっと僕的にはありえないものでした。テニス?それは年齢的にも方向性が違うのでは、と直感的に思いましたが、素直な性格の男性は父親の言葉に従い、近所のテニスサークルに通い始めました。いわゆる主婦や定年を迎えた人たちが集まるサークルです。男性はもともと体力はあったようで、3カ月もするとテニスが上達、そして意外なことに主婦たちから次第にお茶会に誘われるようになっていきました。物静かで真面目な性格が好印象だったようです。そこから「誰かいい人がいないか探してみよう」と主婦らの間で話になって、なんと半年後にお付き合いする相手が現れ、1年後に結婚に至りました。相手の女性は5歳ほど年下の優しそうな人だとか。
ご近所サークルは侮れない、というか、とにかく何かやってみることに価値はあるんだ、と知ったエピソードです。父親がそこまで深く考えてアドバイスしたとは思えませんが、僕の想像の範囲を超えた意外なアイデアは大正解でした。
こうしてみると、全て「同じ目的」で集まった場、ということがわかります。仲間意識のようなものが働いて距離が近く感じられるようになるのかもしれません。
変化する結婚の価値観
結婚については近年、いくつかの変化傾向が一般的に語られるようになりました。
- 結婚のタイミングの遅延
近年、結婚する年齢が遅い傾向になっているのは、周知の事実です。教育の重視やキャリアの構築、個人的な成長を重視する人が増えたことが一因といわれます。結婚を検討する年齢が高くなることで、結婚相手に求める条件やパートナーシップとの相性・価値観に対する考え方も変化します。 - 多様な家族形成の受け入れ
以前よりも、異なる家族形成やライフスタイルを受け入れる意識が広がっています。テレビや新聞で時々取り上げられていますが、同性婚や再婚、カップル間の文化や宗教の違いに対する理解が進んでいて、多様なバックグラウンドを持つ人々が、結婚やパートナーシップを築くようになりました。 - 結婚と幸福感の関連性の見直し
結婚の有無と幸福感の関係についての見方が変わりつつあるようです。結婚が必ずしも幸福な人生を保証するものではないという意識が広まり、個人の生活満足度や精神的な充足感を重視する人が増えています。 - 結婚の意義や目的の再評価
結婚の目的や意義についての再評価もあるようです。単なる伝統的な社会的期待に従うのではなく、パートナーとの互いの成長や支え合い、家庭の築き方など、より意義深い側面がクローズアップされる傾向にあるようです。
出会い、お付き合い、結婚に関して、今は、それぞれのステージを自由に考え、行動できる時代です。ひと昔前と違い、「個人の価値観」が認められ、自分の思い通りの生き方を選択できるようになりました。悩むことも多いと思いますが、それは自分自身の価値観や目標が明確になっていないことに起因しているかもしれません。
自分はどのようにしたいのか、どうすれば幸せになれるのか、自分自身と向き合い、周囲との関係をじっくり考えることで、その時の一番の選択が見えてくると思います。そうした選択に正解はありません。最終的に心と感情で幸せを感じられたら、それが正解になるのではないでしょうか。